6/13/2010

三葉虫の眼とインターネット

近所の百貨店で、三葉虫、サメの歯、アンモナイトの化石セットが売っていたのを、小学三年の長男が小遣いで購入した。百貨店の棚に並んでいる化石なんて商業臭がして価値を減じる感じもするが、数億年の歴史の証と思いまじまじと見ると、想像力を掻き立てられる。特に引かれたのが三葉虫。こいつが現代に生きていたら気持ち悪くてきっと駆除したくなるだろうが、化石になった姿は、丸っこくて、節でゴツゴツした体はなんとも愛嬌がある。

この三葉虫は、5億年前に登場、そして初めて地球上で”眼”を持った生物だった。他の生物に対して圧倒的優位に立った三葉虫は、捕食生物として爆発的にその種類と数を増やして大繁栄を遂げたらしい。そのために化石も大量に存在し、アンモナイトと並んで今こうして簡単に手に入る。


眼を持った動物と持たざる動物、その生存能力の差は圧倒的。眼という新しい感覚器官を手に入れた生物は生存領域を広げ、カンブリア大爆発と言われる、劇的な生物進化を生み出した。

しかるに、インターネットも、ある意味、”人類”が手に入れた新たな感覚器官と言えるのかもしれない。地球の裏側から発せられた情報が、瞬時に共有され、しかも一対一ではなく、複数の人間が同時進行に同じ情報を咀嚼し、反応していく。つまり、人類が共通で持つ、感覚器官だ。そこでは様々な意見、感情、反応が交錯し、めったに一つにまとまることはないが、時に大きなうねりを生み出し、新たな方向に時代を動かす。様々なレベル、ネットで結びつけられた多様なコミュニティで、新しいうねりが起こり、そこから新しい方向性や、活動が生まれている。こう考えると、インターネット以前は、全世界の人類が共通に(少なくとも、誰でもアクセスしてフィードバックできる、という意味で)コミュニケーションできる仕組みは存在しなかった。つまり、インターネットは、人類が手に入れた新たな、そして初めての共通の”眼”と言える。

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